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閉管のポルタティフ・オルガン「Candy」がようやく完成!




 長かった。1月から設計図に取り掛かり、材木を調達して作業を始めたのが2月に入ってからだからこの時点ではまだ少しの遅れで済んでいたが、その前の依頼で作っていた開管のオルガンが1月遅れで並行しての作業となったことと、インフルエンザにかかったり、山岳部のことや楽ガキのことなど雑用に追われて、小淵沢の工房にいるのは火曜日の夕方から金曜日までと、まとまった時間を確保するのが難しいことがあった。4月末には完成の予定だったが、結局1月遅れで今日すべて作業を終えて完成とした。


 長かった、というのはWendyIIが完成してほぼ翌日に依頼主に渡しているので、チューニングからヴォイシング、最後の調整などに全く問題がなかったこともありそんな事ができたのだが、今回は完成後に1週間の時間を取ってあり、ヴォイシングと微調整に時間を割いている・・、それが長かったという印象が強い。開管の場合は殆ど問題とその理解があり解決も早いが、閉管の難しさを改めて感じている。大きな問題が2つあった。


 一つは「音の割れ」が起こる原因を探るのに昨日から2日かかってようやくその原因がわかったが、解決方法はわからず試行錯誤に時間を掛けながらいい場所を見つけている状態だ。設計図の段階では歌口付近に空間をとることぐらいで、ここまで作り上げてからは対策がなく、パイプの作り変えしか無いかと思っている。問題のパイプを別のオルガンに付け替えるときれいに発音しているし、試しにその問題パイプの隣のパイプを抜くとやはりノイズが無くなりきれいに鳴る。場所に問題があるならばと思いその位置に他のパイプを付け替えるとやはりきれいに鳴る。もはやパイプの個性としか言いようがなく、なんとも繊細すぎて、ワガママで、扱いにくい・・、そんな奴が学校にもいたな・・。


 もう一つの問題はフイゴからの空気に特定のパイプが反応しかすかな音を出す現象があった。パレットの不具合、ゴミなどが原因で空気漏れの原因を作ってしまうことは最初に考える単純な原因だが、パレットを替えても特定の場所からの音漏れがあった。パレット受ける基盤の問題ならばヤスリ等で平らに修正することもあるし、バネを強くすることも考えられるが、その鍵盤のアクションだけが重くなるのも問題がある。

 結局散々試行錯誤を繰り返し、バネ穴からの空気がシナベニヤの構造上の隙間を見つけて特定のパレットの溝(カンツェレ)に漏れているということがわかった。結局、高音部のパレットのバネ13本に羊皮のスカートを履かせてバネ穴を塞いだ。漏れる空気も見えないし、ましてシナベニヤのかすかな空気の道は想像の世界でしかない・・。空気のどこを通るのか、音の振動波がどこに干渉するのか・・、オルガン作りは想像力を豊かにして目で見えない世界を形にしていく作業であることか、まるで抽象絵画を描いているようだ。抽象名詞を形にする、かつてそんな授業をやっていたことがあったなぁ・・


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