ポルタティフ・オルガン制作
楽ガキ工房ではポルタティフ・オルガンの製作と販売を行っています。依頼主と音域や全体のレイアウト、デザイン等を相談しながらの製作になります。ご興味のある方はメールにてお知らせください。
また、ポルタティフ・オルガン制作の第2回ワークショップ2022は1月開始、2023年の9月完成、10月28,29日に国分寺に「おたカフェ」にて展示と演奏披露し終了しました。制作の詳細はWendyのページを御覧ください。また制作者の方々の感想などは工房通信「ポルタティフ・オルガン」を御覧ください。
オルガン紹介
各設計ごとに名前(型番のようなものです)をつけて分類や説明しやすいようにしています。それぞれのページにオルガンの詳細とサンプル音などがあります。
F1〜E3 22音 閉管
替え管 D管
338(幅) 227(奥行き・本体板) 634(高さ)
6.2kg
した2つの音に対応したドローン装置を付ける。I 氏の依頼により設計制作。
C1〜D5 50音4オクターブ 閉管
1133(幅) 340(奥行き) 2100(高さ)予定
電気の力を借りない足踏み式フイゴで送風できる小さなパイプオルガン。完成は2024年夏前の予定。作業の詳細は下の写真に随時進行状況をアップ予定ですので御覧ください。
G1〜E3 22音 開管
320(幅) 210(奥行き) 530(高さ)
5.9Kg
WendyにCis、Disの2音を加えて制作。
N氏の依頼により設計制作。
G1〜E3(20音)開管
6.2kg
320(幅) 200(奥行き・本体板) 565(高さ)
2022年1月開始の制作ワークショップは2023年9月終了しました。2023年10月28〜29日国分寺「おたカフェ」にて展示・演奏。
F1〜F3(20音、半音は中音域のオクターブのみ)閉管
7.9kg
370(幅) 230(奥行き・本体板) 660(高さ)
A氏の依頼により設計製作。
G1〜E3(20音)閉管 ボタン式鍵盤
6.2kg
320(幅) 200(奥行き・本体板) 565(高さ)
C1〜C2(8音、半音はなし)開管
3.4kg
245(幅) 170(奥行き・本体板) 430(高さ)
パイプの素材について
私の作ったポルタティフオルガンのパイプは木で出来ています。現代は様々な種類の木の板がホームセンターなど身近な所で簡単に手に入ります。板が安く簡単に手に入るのが当たり前過ぎてなかなか理解しにくいのですが、中世の時代に板、特に5ミリ程の薄く加工した板を大量に手に入れるには相当に大変だったのではないでしょうか。電動の道具のない時代に薄く、広い面積を板状にするのはたいへんな労力と時間を要したと思います。
2月に神奈川県藤野にある「横田宗隆オルガン制作研究所」で、鉛と錫の合金でパイプオルガンに使う金属板を作る様子を見る機会がありました。それはまさに中世から行われてきた道具と製造法で、硅砂の床に350℃弱で溶かした鉛と錫を木枠に入れて動かすという簡単な方法でした。長年スエーデンの大学でオルガンの制作と研究をされた横田宗隆さんが様々な文献から当時の制作方法を再現されたということですが、その作業風景は中世の街の工房で数人の職人たちの手作業で行われていたことが容易に想像できる内容のものでした。
中世の時代の教会の彫刻、多くの写本やテンペラ画などにポルタティフオルガンが多く登場しますが、ほとんど全てが丸い形状したもの、つまり木ではなく金属板で製造されたものだと思われます。横田宗隆さんにそのことを尋ねると「そう言われてみるとそうだ。私も木で作られている絵画、彫刻は見たことがない。音の調整加工が大変だったからではないだろうか・・。」ということでした。確かに金属板で作られたものは、柔らかな金属(鉛と錫の合金)でもあり曲げたり削ったりすることが容易で、簡単な道具で微妙な音の変化を得られやすいが、木の場合は多少の時間がかかること、削りすぎると取り返しが効かないなどのデメリットがある。それより何よりも木を板状に加工するのことが、金属板作る事に比べたいへんな労力を要したこと、そのことがパイプを金属で製作した理由ではないでしょうか。
現代は様々な板が近所のホームセンターで簡単に手に入るし、中世の時代には考えられないような技術で様々な化粧を施した合板やパーティクルボードなども作られています。次回の制作にはそんな今風の板を使用したポルタティフオルガンを作ってみようかと考えています。