バーベキューコンロでの
野焼きにも様々な方法があり、穴を掘ったり、下にレンガを敷いたり、器を真ん中に集めて周囲から攻めたり、その逆の方法もある。それでもむき出しの炎を見つめながら焼く縄文時代の野焼きが道具も準備も素朴で、炎との向き合い方も一番シンプルで分かりやすいと思う。そんなわけで今回は春来荘の庭先でバーベキューコンロを使って野焼きをやってみた。
縄文時代の野焼きは粘土で作った器を乾燥させてから単純に焚き火で焼いていた。ただし器を作るための粘土の作り方や焼成方法など、縄文人なりの様々な工夫もあったようだ。火焔土器、遮光器土偶や、有孔鍔付き土器など様々な形があり、その使用用途が特定できないような不思議な形状のものもある。焼成方法は弥生になると簡単な熱の囲い込みなどで温度上昇により丈夫な器が作れるという事実のために焚き火を超えた工夫が生まれ、その後穴窯になり、更に登り窯になるなど進化していく・・。それでも縄文の、煮炊きをし暖を取るなど、とての身近にあった火との関わりの中で生まれた縄文土器とその焼成方法には特別な親近感がある。
バーベキューコンロはキャンプ人気の昨今はとても身近な道具だが、縄文焼き(焚き火での単純な焼成方法はそんな呼び方が相応しいか・・)は肉や野菜を焼きながら出来てしまうから、縄文人にとても近い焼き方かもしれない。肉や野菜を焼くには200から300度程度の温度で大丈夫だが、土の器を硬化させるには700を超える必要があるが、焚き火でも簡単にその温度に到達できる。遺跡からは、土器を作る親の隣で見様見真似で作ったと思われる粘土で作った小さな人形や樹の実を真似たものが遺跡から出てくる。親の焼く土器を一緒にやいてもらったもののようだ。火を囲んだ縄文人の微笑ましい生活が垣間見えておもしろい。
陶芸の基本常識として、整形後の粘土はしっかり乾燥させてから焼成をするというのは当たり前過ぎて今更確認することでも無いが、今回はあえて火入れの直前に2つのぐい呑みを作り、まだたっぷり水分を含み柔らかいものを、すでに乾燥済みの土笛といっしょに焼成した。もちろんすぐに熱に投入したわけではなく、薪で乾燥させながら少しずつ熱に近づけるという配慮はしている。それでも、火入れの直前に生の粘土で作り焼成できるという事実は、とても多くの可能性を秘めている。人生をより楽しむためのヒントの一つがここにある。
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