秋田にある穴窯「眺海窯」の窯出しでは期待と失望を何度繰り返したことか・・と今更ながら思い出したが、失望の数だけその堆積が技術となり次の制作につながる。失敗をいつもそうやって自分に言い聞かせてきたが、一回の失敗でどれだけの多くの情報を得るかで進歩が決まる。僕はあと50年は生きないといけないのかも・・。
還元が強すぎた。素地の鉄分と雲母が予想以上に反応した。弱還元では青磁のように青白く反応した釉薬も主張を弱くし、吹付の皿類は浸しがけにすればよかったと後悔している。
いい表情を見せてくれた器も多い。ロクロも釉薬も炎も、偶然を全ては制御できないが、技術と経験の進歩が意図的偶然の中で個性となり作品となっていく。
穴窯も灯油窯も窯出しは一点ずつじっくりと眺めながら窯から出し、反省と対処を考えている。そしていつも必ず次の窯への期待が高まっていくのだ。
写真に写っているカップは良い感じに見えますが、狙いとは違ったのでしょうか。釉薬の出方は土によっても違うし、今回のように焚き方によってもだいぶ違うようですね。回を重ねるごとにある程度狙い通りになっていくのではないでしょうか。思わぬ出来というのもあると思いますが、まずはコントロールしたいですね。